岡山3大一級河川の一つである「高梁川」は、かつては豊富な魚種を誇っていました。しかし、現在では年々減少傾向にあるといいます。
どのような状況なのか調査すべく、高梁川の2つの支流で“ガサガサ”を行いました。そこで見つかった、ちょっとレアな魚やタナゴ類が産卵する貝類などについてまとめました。
高梁川の支流で確認された生きもの
今回は、高梁川の2つの支流を調査しました。
1つ目の支流は水深があり、水の流れもなく、あまり魚が取れませんでした。フナ類、カマツカ、ドンコ、モツゴ、ミナミメダカ、タモロコ、ゼゼラの7種の魚が数匹ずつと、種類も数も少なかったので残念でした。
次の川では、カワヒガイ、ヤリタナゴ、カワムツ、ゴクラクハゼ、ヨシノボリ、タモロコ、コウライモロコ、タイリクバラタナゴ、アブラボテ、オイカワ、ハスと11種類も取れ、なかには20匹を超える種もありました。高梁川でこんなに魚種が確認できるとは思っていなかったので、嬉しい発見です。
2つめの川で採集した魚(撮影:額田善之)また、タナゴ類の繁殖に必須のイシガイ科のササノハガイ、マツカサガイなどもたくさん取れました。タニシやカワニナ、シジミなど貝が豊富な川であり、コンクリート舗装の川には珍しく豊かな川だったことに驚きました。
これは高梁川本流からすぐの支流だったからかもしれません。他にもサナエ科のトンボのヤゴなども取れました。
高梁川水系では、吉井川水系や旭川・百間川水系で見られるものと同じような魚が確認されました。そして、岡山3大一級河川の中で最も魚種の減少が大きいという話も聞かれる中、カワヒガイが見つかりました。
希少な魚<カワヒガイ>を観察してみた
カワヒガイ(学名:Sarcocheilichthys variegatus variegatus)は環境省レッドリスト2020では準絶滅危惧(NT)に、愛知県、大阪府、大分県で絶滅危惧I種に指定される希少な魚です。
コイ科ヒガイ属に分類される魚で、タナゴ類と同じくイシガイ科の貝やマシジミなどに産卵することが知られています。
カワヒガイ(撮影:額田善之)カワヒガイが産卵するイシガイ科の貝には、イシガイ、マツカサガイ、ササノハガイ、ドブガイ、タテボシガイ、カラスガイ、オバエボシガイ、カタハガイなどがあります。
つまり、タナゴ類もカワヒガイも、イシガイ科の二枚貝がいなければ絶滅してしまうということです。
タナゴ類やカワヒガイが産卵する貝類
タナゴ類やカワヒガイは水草や川底には産卵せず、イシガイ科の二枚貝(イシガイ、マツカサガイ、ササノハガイ、カラスガイなど)の貝の中に産卵するという珍しい習性を持ちます。
これは、産卵数が少ないため、外敵から卵を守るというのが大きな理由と言われています。これらの二枚貝が少ない川では複数のタナゴが1つの貝に産卵することがあり、10〜20個ほども受精卵が見つかった貝もあるそうです。
イシガイ科の二枚貝がたくさん確認された(撮影:額田善之)こうなると、貝にも大きな負担がかかります。弱って死ぬ恐れがあり、タナゴは自滅することになります。そんなイシガイ科の二枚貝は、全国的に絶滅危惧に指定されるほど減少傾向にあります。
これらの二枚貝は、自分の稚貝をタナゴやヨシノボリ類のエラに寄生させて生育環境を広げるため、ヨシノボリ類も同じ場所に生息することが重要です。
魚の保全だけを考えるのではなく、関係する生きもの全てを保全しないと意味がありません。環境をコントロールできてしまう私たち人間は、こういった命のつながりを学び、守っていく必要があると改めて感じます。
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