近年、温暖化等の影響も相まって、日本の夏は猛暑を超え“酷暑”となっています。そんな気温変化を直接受ける海洋環境が「潮だまり」です。閉鎖的な海水の水たまりは30度を優に超えることもあります。
しかし、そうした過酷な環境に敢えて生息するのが“潮だまり生物たち”です。
筆者は自宅に屋外水槽を設置していますが、これも例外なく水温が上がっています。そんな屋外水槽の生き物たちの飼育記録です。
アクアリウムは「屋内飼育」が鉄則
そもそもアクアリウムにおいて大切なのは環境を一定にすることです。水温が大きく変化するのは生き物への負担も大きくなります。
そのため、基本的には屋内飼育で、直射日光を避け、ヒーターやクーラーで水温も一定にして安全に管理するのが鉄則です。
しかし、そんな鉄則を破っても、「潮だまり生物たちなら耐えられるのでは」と考えて設置したのが屋外水槽でした。
「潮だまり」は過酷な環境
潮だまりは非常に過酷です。
さんさんと照り付ける太陽光の影響を直接受けるので、水温が上昇していきます。筆者が以前訪れた神奈川県三浦市の城ヶ島にも、明らかに酷暑でぬるくなった潮だまりがいくつもありました。
潮だまりがたくさんある城ヶ島の磯(提供:みのり)そんな過酷な環境にも、ヤドカリはうじゃうじゃといました。
水温だけでなく塩分も?
潮だまりで過酷になるのは水温だけではありません。塩分もです。
水温が上がる閉鎖的な水たまりはどんどん海水が蒸発していきます。それに伴い、塩分も上昇します。
アクアリウムにおいて、短期間における水温や塩分の急激な変化は生物の状態を悪化させます。自然界にいる多くの海洋生物においても、決していいものではありません。
たとえば、クラゲなどは水温や塩分がほんの少しズレただけで、変形したり死んでしまったりするものもいます。
そんな中で、敢えて潮だまりを選んで住んでいる生き物は、かなり異質な存在といえるでしょう。
全員無事に10月を迎える
筆者は、前述の城ヶ島でヒライソガニ、アゴハゼ、メジナ、ホンヤドカリを採集しました。
メジナ(提供:みのり)これらを60センチのコンテナ水槽に入れ、屋外で飼育しました。
酷暑日は直射日光だけサンシェードで避け、あとはそのままです。
ヒライソガニ(提供:みのり)日によっては水温32度、塩分38パーミル(沿岸域で大体31パーミルほど)を記録する日もありました。
そんな日でも生物たちは一向に体調を崩すことはありませんでした。なんなら、徐々に環境に慣れていき、筆者が水槽を覗くだけで餌を期待して近づいてくるようになりました。
アゴハゼ(提供:みのり)自分たちが過酷な環境に置かれているなんてつゆ知らず──むしろ、筆者があれこれ管理しているだけ、本場の潮だまり環境よりもいくらかマシだったのかもしれません。
そんなこんなで、気づけば10月を迎え、25度前後の過ごしやすい日々がやってきました。本当に何事もなく、全員無事に秋を迎えたのです。
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