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生態系の縁の下の力持ち<ミジンコ> メス同士でクローンを生む?

小学生の頃、理科の授業で「ミジンコ」を観察した経験がある方は多いと思います。ですが、そのミジンコたち、どんな生物か詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

身近な水辺に必ずいる小さくエイリアンのようなプランクトン、ミジンコについて詳しく紹介します。

ミジンコは小さな甲殻類の仲間

一般的に、「ミジンコ」と呼ばれているものは Daphnia pulex というミジンコです。

他に「オオミジンコ」Daphnia magna、「オカメミジンコ」Simocephalus vetulus、「マルミジンコ」Chydorus sphaericus、「ゾウミジンコ」Bosmina longirostris、「ハリナガミジンコ」 Daphnia longispina などがいます。

マルミジンコ(提供:PhotoAC)

ミジンコは小さいけれど節足動物・甲殻類の仲間で、生息地は川や池や沼などの淡水。大きさは1ミリ前後です。

体が透明のため、複眼と単眼、触角、心臓、腸と肛門、葉状の付属肢などを顕微鏡で観察することができます。

ミジンコはクローンで増える

ミジンコ類はメスが単独で単性卵を作り、増殖します。いわば「クローン」ばかりの生物です。

ミジンコの仲間(提供:PhotoAC)

また、水質などの環境条件が悪化した場合には、オスが出現し、オスとメスの交尾によって耐久卵(休眠卵)が作られることがあります。耐久卵は体外に産み落とされ、環境条件が好転すると孵化するしくみです。

しかし、最近の研究では、日本にいるミジンコは北米大陸からの侵入種で、オスとメスが交尾して子どもができることはなく、単為生殖によってクローンを生産し続けるという東北大学の研究が発表されています(「負けて勝つ」ミジンコの長期共存戦略-東北大学)。

メスだけで休眠卵を作るなんてタフな生き物ですね。

ケンミジンコはミジンコとは違う生態を持つ

ミジンコと名のつく微生物の仲間に「ケンミジンコ」という生物がいます。生息地は川や池や沼などの淡水で、「ミジンコ」と同じです。

一方、「ミジンコ」は鰓脚綱(さいきゃくこう)に属し、「ケンミジンコ」は橈脚綱(かいあしこう)に属します。

また、「ミジンコ」は植物プランクトンなどを主食としていますが、「ケンミジンコ」は肉食で、時には小型のミジンコも食べます。

見た目もカブトエビのようで、泳ぎもとても速いです。「ケンミジンコ」と和名がついていますが、全く違う分類・生態から“ミジンコの仲間”とは言えなそうですね。

ウミホタルも「カイミジンコ」

「ケンミジンコ」と同じように和名に「ミジンコ」と付けられているけれど、ミジンコの仲間ではない動物に「カイミジンコ」がいます。

「カイミジンコ」は貝形虫綱(かいけいちゅうこう)で、二枚貝の貝殻のような背甲という殻に包まれています。波打ち際で発光する「ウミホタル」も「カイミジンコ」の一種です(貝形虫-国立科学博物館)。

ウミホタル(提供:PhotoAC)

生態系を支える縁の下の力持ち、小さなミジンコの世界。

肉眼での観察は難しいですが、身近な水辺に彼らはいます。時には小さなプランクトンたちにも目を向けてみてくださいね。

(サカナトライター:小園梓)

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