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<子持ち昆布>ってなんの卵を使っているの? その製法や食べ方を紹介

ぷちぷちとした食感と昆布の風味が美味しい子持ち昆布。おめでたい席で見ることが多い食材です。この子持ち昆布、どのように作られているか疑問に思ったことはありませんか?

この記事では、子持ち昆布について紹介します。

正体は昆布に産み付けられたニシンの卵!

子持ち昆布についている卵は、ニシンの卵。これはいわゆる数の子と同じものです。

数の子は、ニシンのメスのお腹から取り出した魚卵の塊を、そのまま天日干し、または塩漬けにしたものを指します。パリっと割れる塊と卵の食感が特徴的で人気のある食材です。

数の子(提供:PhotoAC)

一方、子持ち昆布は、ニシンが昆布に卵を産み付けたものです。ニシンは、産卵期になると沿岸に押し寄せて産卵を行います。

ニシンの卵は粘性を持っているので、付近の海藻に付着することがあります。これが昆布に付着すると「子持ち昆布」として名高い食材になるのです。

子持ち昆布(提供:PhotoAC)

子持ち昆布は人の手によって量産できる

子持ち昆布には天然のものもありますがとても希少で、現在は人の手によって量産されたものがよく流通しています。

子持ち昆布を量産するためには、あらかじめ産卵期のニシンの通り道に昆布をつるした生け簀を設置します。そして、巻網などで抱卵しているニシンを追い込み、生け簀の昆布へ卵を産み付けさせます。

主な産地は、カナダの東海岸やアメリカ・アラスカ州です。カナダ・アメリカでは、子持ち昆布はライセンスにより場所や獲ることのできる量が厳しく管理されています。これによりニシンの資源量を調節し、持続可能な漁業を目指しています。

参考:商業漁業ライセンスの規則と政策の参照文書太平洋地域|太平洋地域 |カナダ水産海洋省 (dfo-mpo.gc.ca)

子持ち昆布の美味しい食べ方

子持ち昆布は縁起の良い食べ物としてお正月に食べられることが多いです。ニシンの卵は「子孫繁栄」、昆布は「喜ぶ」という言葉になぞらえて縁起の良い食べ物。分厚く均等に卵が付いたものが上質と言われています。

そんな子持ち昆布の定番の食べ方はだし醤油漬けです。シンプルな味付けで、食感がよく、お酒と一緒に楽しむのもおすすめです。

子持ち昆布と日本酒(提供:PhotoAC)

寿司で食べるときには、だし醬油漬けにした子持ち昆布を握りにして、のりで巻いて提供されます。子持ち昆布特有の食感はそのままに、醤油の味がシャリに染みています。

子持ち昆布の握り(提供:PhotoAC)

また、サラダやパスタなど、その食感と塩気を活かして様々な料理に合わせることができます。

子持ち昆布は昆布とニシンの卵が海中で出会うことで産まれた食材です。子持ち昆布を食べる機会があれば、数の子との違いや製法に目を向けて、ストーリーと共に味わってみてください。

(サカナト編集部)

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