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7月1日(びわ湖の日)に思い出す<オオガタスジシマドジョウ> 広大な湖・琵琶湖にすむ偉大なドジョウ?

7月1日は「びわ湖の日」です。

これは1980年のこの日、滋賀県が「滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例」を出したことによるもので、翌1981年に定められました。

琵琶湖(提供:PhotoAC)

琵琶湖では、過去にしばしば淡水赤潮が発生し、養殖場の魚がへい死したり、水道水から異臭がするなどの問題が引き起こされました。

この原因は合成洗剤などに含まれる「リン」に起因するものであることがわかり、この条例で窒素やりんの排出基準などを定めました。近年は7月1日前後に琵琶湖周辺の清掃が行われることも多いそうで、現在では毎年10万人の方々が清掃活動に参加されているそうです。

そんな誰しもが知る日本最大の湖・琵琶湖には、淡水魚の固有種ないし亜種だけで17種も生息しています。

その中でも筆者にとって思い出深いのが、ドジョウ科シマドジョウ属の大型種・オオガタスジシマドジョウです。

個性豊かな琵琶湖の魚たち

琵琶湖およびその周辺には在来種だけで67の種ないし亜種の魚類が生息しています。

そのうち、ビワコオオナマズ、イワトコナマズ、ニゴロブナ、ワタカ、ビワマス、ビワコガタスジシマドジョウなど17の種ないし亜種は、琵琶湖やその周辺しか生息しない「固有種」ないし「固有亜種」となっています。

琵琶湖固有種であるビワマス(撮影:椎名まさと)

また、琵琶湖産のニシシマドジョウのように、他の地域のものと異なる見た目をしたものも知られています。

このニシシマドジョウも研究が進めば、ほかの地域のニシシマドジョウと別の種や亜種とみなされるようになるかもしれません。

琵琶湖で採集したニシシマドジョウ(撮影:椎名まさと)

なかでも思い出深いオオガタスジシマドジョウ

さて、多数知られる琵琶湖およびその周辺の固有種の魚類のなかで、筆者にとってもっとも思い出深いのがオオガタスジシマドジョウです。

オオガタスジシマドジョウは日本国内に多くの種・亜種が知られる、体側に縦帯があるシマドジョウ属「スジシマドジョウ類」のグループのなかでも、もっとも大きくなる魚で、全長10センチほどにまでなります。

筆者とオオガタスジシマドジョウとの出会いは2017年7月のこと。琵琶湖の浅い砂地で砂ごと網ですくいとると、その中には大きなドジョウの姿──それがオオガタスジシマドジョウでした。

採集したオオガタスジシマドジョウ(撮影:椎名まさと)

筆者がオオガタスジシマドジョウを優しくバケツに移し、飼育するために大事に大事に家に持ち帰ったのは言うまでもありません。

ほかのシマドジョウ属よりもはるかに大きいオオガタスジシマドジョウは、ニシシマドジョウやトウカイコガタスジシマドジョウなどと同じ水槽で飼育していたのですが、それらのシマドジョウ属よりもはるかに大きく貫禄がある存在でした。

飼育中のオオガタスジシマドジョウ(提供:椎名まさと)

2012年に新種記載された本種の学名は「Cobitis magnostriata」。その種小名は“偉大なスジシマドジョウ”を意味します。まさしくこの種にふさわしい学名となっています。

オオガタスジシマドジョウは絶滅危惧種

オオガタスジシマドジョウは現状では国のレッドリストにおいては絶滅危惧ⅠB類に選定されており、滋賀県においても絶滅危惧種に選定されています。

しかしその一方で、近年、東京都、山梨県、静岡県など、ほかの都道府県においてもオオガタスジシマドジョウが見つかったという事例が報告されています。これは主に琵琶湖産のアユの放流に混ざり移植された、という説が有力のようです。

オオガタスジシマドジョウの幼魚(撮影:椎名まさと)

オオガタスジシマドジョウはほかの魚を捕食することはないのですが、4倍体性種であり(少なくとも)ほかの3種のシマドジョウ属魚類の遺伝子をもっていることが知られているなど、交雑の可能性においてはデリケートな魚でもあります。また寄生虫や病気などを持っていた場合、移植先でも蔓延してしまうおそれがあります。

かわいい、かつ格好いい魚であり、獲れたら持ち帰って飼育したくなりますが、最後まで面倒をみてあげるようにしましょう。

また、オオガタスジシマドジョウに限らず、飼育した魚を河川や池、海などに放つことはたとえ採集した場所と同じ場所であったとしても慎まなければなりません。

また会いたいオオガタスジシマドジョウ

琵琶湖およびその周辺地域の固有種として、筆者のもっとも印象に残っている魚、オオガタスジシマドジョウ。残念ながら、2017年に採集して以降一度も出会うことができていません。またいつか琵琶湖に赴いて出会いたい魚でもあります。

しかしながらヒトの欲というのは際限がないもので、ついでに、といっては失礼かもしれませんが、ビワコオオナマズやイワトコナマズ、ビワコガタスジシマドジョウ、ビワヒガイといった、筆者がまだ出会っていない琵琶湖およびその周辺地域の固有種にも出会いたいものです。

このような魚たちを育んできた偉大な湖が、今後も変わることなく、これらの魚を育んでくれることを祈りたいものです。

(サカナトライター:椎名まさと)

参考文献

藤岡康弘・川瀬成吾・田畑諒一(2024)、琵琶湖の魚類図鑑、サンライズ出版

中島 淳・洲澤 譲・清水考昭・斎藤憲治(2012)、日本産シマドジョウ属魚類の標準和名の提唱、魚類学雑誌、59(1):86–95.

中島 淳・内山りゅう(2017)、日本のドジョウ 形態・生態・文化と図鑑.、山と渓谷社

びわ湖の日-滋賀県

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椎名まさと

魚類の採集も飼育も食することも大好きな30代。関東地方に居住していますが過去様々な場所に居住。特に好きな魚はウツボ科、カエルウオ族、ハゼ科、スズメダイ科、テンジクダイ科、ナマズ類。研究テーマは魚類耳石と底曳網漁業。

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