厄介者のイスズミを商品化!対馬の「そう介プロジェクト」
厄介者として扱われてきたイスズミを、食べられる商品に変えようと動き出したのが、長崎県対馬市の有限会社丸徳水産です。
同社は、イスズミに「そう介」という名称を付け、食材として活用する「そう介プロジェクト」に取り組んでいます。
長崎県対馬市(提供:PhotoAC)ただ、商品にするまでの道のりは長かったといいます。特に厄介だったのが、イスズミ特有の臭み。そこで丸徳水産は、魚の鮮度を保ちながら、臭みの原因となる内臓や血合いを取り除く方法を工夫しました。
こうした取り組みは、水産庁の資料でも紹介されています。
成果の一つが「そう介のメンチカツ」です。2019年には、第7回Fish-1グランプリの「国産魚ファストフィッシュ商品コンテスト」でグランプリを受賞しました。
その後、スーパーでの販売だけでなく、学校給食や老人ホームの食事にも活用されるようになったといいます。
イスズミの商品価値を高めることが磯焼け対策につながる理由
丸徳水産の取り組みで興味深いのは、イスズミを捕ることが漁師の収入につながる仕組み。水産庁の事例報告によると、同社ではイスズミを1キログラム当たり100円で買い取っていたといいます。
これまで値段が付きにくかった魚でも、買ってくれる相手がいれば話は変わってきます。漁師にとって、イスズミを積極的に捕る理由が生まれるからです。
実際、農林水産省の資料では、丸徳水産が調達したイスズミやアイゴなどの食害魚は、2019年度の4トンから30トンに増えたと報告されています。イスズミだけの数字ではありませんが、大幅に増加しています。
もう一つ見逃せないのが、売り上げ金の使い道です。
水産庁の報告では、商品の売り上げの一部を藻場の保全活動に役立てていることも紹介されています。つまり、魚を捕って終わりではなく、商品として販売した利益を海の環境づくりにも生かしているわけです。
漁業と環境保全を結びつける、興味深い試みではないでしょうか。