ヨーロピアンパーチ(Perca fluviatilis)はヨーロッパの湖や川でよく見られる身近な魚。黒いしま模様と赤みを帯びた腹ビレ・尾ビレが特徴です。
以前、ラトビアの研究所でヨーロピアンパーチの年齢査定をしていたときに、時々不思議に思うことがありました。同じ湖から同時に採集された同じ年齢の個体同士でも、体サイズがかなり違うのです。
なぜ同じ年月を生きてきた魚たちなのに、これほど成長に差が生じるのでしょうか。
同じ年齢なのに、なぜ大きさが違うのか
ヨーロピアンパーチの年齢査定では、鰓蓋骨に形成される成長帯を数えます。
同じ集団・同じ年齢でも大きく異なる体サイズは、単に「生まれつきの差」というわけでありません。魚の成長は、水温、エサの量、競争、捕食リスクなどの環境条件に影響を受けます。
まだかわいらしいヨーロピアンパーチの若齢個体(提供:Polo the Rat)ヨーロピアンパーチの成長率や体型は、地域や湖ごとの環境によっても変わり、特に水温や個体群密度、資源をめぐる競争が影響します。
食性転換が成長差を広げる
ヨーロピアンパーチは、成長に伴って食性を大きく変えます。
ふ化後は主に動物プランクトンを食べ、やがて底生の水生昆虫など大型無脊椎動物へ、さらに大きくなると小魚を捕食するようになります。
この変化は「食性変換」と呼ばれます。
エサは成長に応じてプランクトンから昆虫、小魚まで(提供:Polo the Rat)注目すべきは、この食性転換の時期や成功の度合いは、個体ごとに異なること。早くから小魚を食べられるようになった個体は、高カロリーのエサを獲得できるため、成長が加速します。
一方、食性転換が遅れたり、水生昆虫のエサが限られたりすると、成長がゆるやかになります。
つまり、同じ3歳でも「まだプランクトンや水生昆虫を食べている個体」と「すでに小魚を捕る捕食者になっている個体」が存在します。
1.2kgの個体(提供:Polo the Rat)一度差がつくと、大きい個体ほど大きなエサを食べることができ、さらに成長が進むという正のフィードバックが働きます。
同じ湖でも、利用する環境が違う
同じ湖の中でも、個体が利用する場所はさまざまです。幼魚期は沖合の表層でプランクトンを食べることが多く、成長すると沿岸の浅場へ移動して底生動物を食べます。
その後、十分に成長した個体は、より開けた水域で小魚を捕食するようになります。
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