東京大学大学院総合文化研究科特任研究員の寺田知功氏らの研究グループは、スナメリの鳴声の周波数を調査しました。
この研究の成果は「Mammal Study」に掲載されています(論文タイトル:Preliminary evidence for peak frequency variation related to body length and sex in echolocation clicks of narrow-ridged finless porpoises)。
動物の鳴音
動物が発する鳴き声は、本来の目的と異なる二次的に機能することがあり、「音の多機能性」と呼ばれています。
音の多機能性に着目した研究は、音の機能がどのように分化したきたのか理解を深めるために重要です。
例えば、哺乳類のコウモリは、発した音の反響で周囲の環境を把握する「エコーロケーション」を行います。
さらに一部の種において、エコーロケーション音に多機能性が見られ、これが性別の認識に使われている可能性が示されているようです。
スナメリの鳴音
海洋哺乳類のスナメリも鳴音を発する動物として知られています。
しかし、スナメリの鳴音にどのような情報が含まれているのかは謎に包まれていました。
スナメリ(提供:PhotoAC)そうした中で、研究チームはスナメリを対象に調査。鳴音の周波数の測定を行いました。
オスとメス周波数が異なる?
研究では鳥羽水族館、下関市立しものせき水族館、宮島水族館で飼育されているスナメリ11頭(オス5頭、メス6頭)を対象に周波数の測定が実施されました。
その結果、スナメリの鳴音の周波数は体長が大きくなるほど低下し、メスよりオスの方が低い周波数の鳴音を発することが判明。このことから、スナメリの鳴音の周波数はオスとメスで異なる可能性が示されました。
研究グループは、スナメリが他個体のエコーロケーションの鳴音を聞くことで異性の繁殖相手を探索できるのでは、と考えています。
スナメリを理解する重要な知見に
今回の研究により、スナメリのエコーロケーションの鳴音の周波数がオスとメスで異なることが示されました。この成果は、スナメリの社会や繁殖戦略を理解するうえで重要な知見となっています。
また、研究グループは今後、鳴音を再生するプレイバック実験などを通し、スナメリがこの差異を認識できるかどうか検証する必要があるとしています。
(サカナト編集部)