株式会社潮風ホールディングスは7月31日、漁業者と消費者を港で直接つなぐ直売アプリ「海のマーケット」のiOS版・Android版公開を発表しました。
同アプリは「魚」を予約・決済し、指定した漁港で漁業者から直接受け取る仕組みのサービス。漁業就業者の減少や漁業者の収益向上が課題となる中、新たな流通モデルとして“港での直売”を促進する考えです。
今夏からは宮崎県串間市で実証テストも予定しています。
港で直接受け取る新たな流通モデルを検証
「海のマーケット」は、漁業者が魚の種類や数量、価格、受け渡し場所、時間などをアプリに登録し、消費者が事前に予約・決済を行うサービスです。
購入者は指定された時間に港を訪れ、漁業者から魚を直接受け取ります。
アプリのスクリーンショット(提供:株式会社潮風ホールディングス)配送や梱包を必要としないため、物流コストや配送時間を抑えられるほか、漁業者は販売価格を自ら設定できる点が特徴。消費者は水揚げ後間もない鮮度の高い魚を購入できる仕組みとなっています。
同社は7月24日、宮崎県串間市で地元漁業者向けの説明会を開催。今後は串間市や地元漁業協同組合と連携しながら実証テストを進め、予約から受け渡しまでの運用やアプリの利便性を検証するとしています。
漁業者の所得向上と未利用魚の活用にも期待
同社の試算によると、個人経営の漁船漁業者が水揚げの20%を市場価格(浜値)の約2倍で直接販売した場合、年間所得は約226万円から約338万円へと約49%向上するといいます。
一方、消費者は一般的な小売価格よりも安価に購入できる可能性があり、市場価格と小売価格の差を活用した新たな販売モデルとして展開を目指しています。
決済はアプリ上で一括管理され、商品売上の一部が漁業者や連携する漁協へ配分される仕組みを採用。これにより、漁業者の売上管理の負担軽減や、地域の漁協への収益還元にもつなげる考えです。
鮮度の低下が早いなどの理由で市場流通しにくい「未利用魚」の販売にも活用が期待されており、これまで地域内でしか消費されなかった魚を消費者へ届けることで、新たな収益機会の創出につながる可能性があります。
全国展開を視野
実証テストでは、実際の漁業スケジュールに合わせた出品や予約、決済、港での受け渡しなどを検証。得られた結果をもとにアプリや運営方法を改善し、宮崎県内をはじめ全国の自治体や漁協との連携を進める方針です。
今回の取り組みは、港での直接販売をデジタル化することで流通の選択肢を広げるとともに、漁業者の収益向上や地域活性化につながる新たなモデルとして注目を集めるかもしれません。
※2026年8月7日時点の情報です
(サカナト編集部)