アカハライモリのオスは繁殖期になると尾や背中が青紫色になることが知られています。
動物が交配相手を惹きつけるために発達させた形質は二次性徴と呼ばれ、アカハライモリのオスで見られる変色についても、メスを惹きつけるための重要なサインであることが指摘されてきました。
しかし、この色彩がどのような細胞がどのようにして作りがしているのか、詳しいことはわかっていかなったといいます。
そうした中、兵庫県立大学と山階鳥類研究所の研究チームは、アカハライモリのオスが繁殖期に見せる青紫色の体色の謎を解明しました。
この研究成果は「Journal of Zoology」に掲載されています(論文タイトル:Pigment cell mechanism of bluish-purple nuptial colouration in the Japanese fire-bellied newt Cynops pyrrhogaster)。
紫外線の反射でアピール
研究チームは、アカハライモリのオス(非繁殖期、繁殖期)とメスの皮膚を詳しく分析。透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた、ナノメートル単位での観察も実施しました。
分析と観察の結果、繁殖期のオスのみ、波長350ナノメートル付近の紫外線を強く反射していることが判明。イモリの仲間は紫外線を感知できる視覚を有している可能性が高いことから、メスは紫外線の反射による輝きを頼りにオスを探している可能性が示されました。
アカハライモリ(提供:PhotoAC)さらに、この色は色素ではなく、皮膚の中にある「虹色素胞」内の薄い板状の構造「反射小板」による構造色であることも明らかに。繁殖期のオスでは、虹色素胞が非繁殖期のオスと比較して、数倍から十数倍の密度で存在していること、反射小板が皮膚表面と並行して並んでいることが確認されています。
また、虹色素胞の下層には黒色素胞が密集しており、余分な光を吸収し構造色を鮮やかにする役割を持っていることも明らかになっています。
細胞を衣替えさせているホルモンの謎
今回の研究によって、アカハライモリのオスが呈する繁殖期の青紫色について、その仕組みが明らかになりました。
この成果は両生類の進化や視覚情報の謎を解明する重要な一歩とされています。
研究チームは今後の研究で、ホルモンがどのように細胞を衣替えさせているのかを解明する予定とのことです。
(サカナト編集部)