世界に広く分布するアカマンボウ。この魚は「回転寿司でマグロの代用魚として利用されている」という噂が度々話題になりますが、実際はどうなのでしょうか?
結論から言うと、マグロの代用魚としてアカマンボウが利用される可能性は低いです。
なぜそのように言えるのか、近年の研究で明らかになったアカマンボウの分類や生態と合わせてご紹介します。
変わった特徴を持つアカマンボウ
アカマンボウはアカマンボウ目アカマンボウ科アカマンボウ属に分類される大型魚。大きさは体長1.8メートルにもなり、日本を含む世界中の温帯域に生息。外洋の表層~深海に出現します。
アカマンボウ目には多くの深海魚が含まれており、リュウグウノツカイをはじめテングノタチ、サケガシラ、一見するとアカマンボウ目に見えないクサアジなどが知られています。
また、2018年に公表されたアカマンボウ科を整理した論文ではアカマンボウ属を3種新種記載(A taxonomic review of Lampris guttatus (Brünnich 1788) Lampridiformes; Lampridae) with descriptions of three new species)。かつてLampris guttatusにアカマンボウの和名が当てられていましたが、L.guttatusは日本に分布せず、日本を含む汎世界的に分布するL.megalopsisにアカマンボウの標準和名は当てられています。
標準和名に「マンボウ」と付くもののフグ目のマンボウとは外見が大きく異なり、腹鰭を持ち舵鰭を持たないことから容易に区別することが可能。本種は名前もさることながら形質も変わっており、特徴的な体形と模様、大きな赤い鰭の組み合わせは非常に独特です。
アカマンボウは恒温動物だった?
見た目も名前も変わっているアカマンボウですが、実は生態も変わっていることが近年の研究で明らかになりました。
魚類のほとんどが変温動物ですが、2015年、NOAA Fisheriesが公表した研究結果によるとアカマンボウは自ら温めた血液を全身に循環されることが可能な恒温動物であることが判明したのです。
鰓に温かい血液を送る血管が冷たい血液を送る血管を取り囲んで、血液を温めているといい、実際に水深約45~400メートルを泳ぐアカマンボウの体温は水温よりも5度高かったそうです。
そのため、水温が低い水深帯でも活発に動くことが可能であり、かつては動きの鈍い魚と思われていたアカマンボウですが、獲物を積極的に追う捕食者であることが判明しました。
サメやマグロのように泳ぐことで筋肉を温める魚は存在しましたが、アカマンボウのような魚は非常に珍しいと言います(Warm Blood Makes Opah an Agile Predator-NOAA)。
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