海藻を食べる魚・イスズミが、磯焼けの原因の一つになっていることを知っていますか。
磯焼けとは、海藻が減ってしまい、なかなか元の状態に戻らなくなる現象です。
海藻が茂る「藻場」は海の生きものたちの住みかや産卵場になるなど、海の生態系において重要な役割を果たしています。
そんな海藻を食べ尽くしてしまうイスズミ。地域によっては駆除の対象に指定されていることもあります。
そんな厄介者のイスズミを、食材として活用しようとしているのが長崎県対馬市です。これまであまり値段が付かなかった魚を、工夫して商品に変えています。
ただ捕まえて減らすのではなく、売れる魚にすることで漁師が捕る理由をつくる──この発想が、磯焼け対策にどうつながるのかを見ていきましょう。
海藻を食べる魚<イスズミ>
イスズミは、海藻などを餌にする魚です。
海藻を食べる魚はほかにもいますが、イスズミは海藻が減っている場所でも変わらず食べ続けてしまうことで磯焼けを引き起こします。
イスズミと磯焼け(提供:PhotoAC)せっかく海藻が生えてきても、イスズミに食べられてしまえば、藻場はなかなか元に戻りません。水産庁も、イスズミを海藻の食害に関わる魚として取り上げています。
ただし、磯焼けの原因はイスズミだけではありません。同じく海藻を食べるアイゴやウニの影響も大きく、またそれに加え海水温の上昇や、それによる海洋環境の変化も大きな影響を与えています。
コンブに群がるムラサキウニ(提供:PhotoAC)イスズミが食用として利用されにくい理由
イスズミは、昔から積極的に食べられてきた魚とはいえません。
その理由として挙げられるのが、独特の磯臭さです。長崎県対馬市でも、イスズミは値段が付きにくく、海藻を食べる厄介者として駆除の対象になっていました。
しかも、食材として扱うには手間がかかります。鱗が硬いうえに、魚体の大きさに比べて食べられる部分が少ないのです。水産庁の事例報告によると、イスズミの可食部は約20%とされています。
これでは、せっかく捕まえても収入につなげるのは簡単ではありません。漁師にとっては、手間をかけて捕るだけのメリットが少なかったのでしょう。
そこで課題となったのが、イスズミを単に駆除するのではなく、お金になる魚へと変えていくことでした。