魚のクリーナー
エビの中には魚の体表などにつく寄生虫を食するようなものもいます。アカシマシラヒゲエビやその近縁種は三大洋の温暖な海域に見られ、ほかの魚につく寄生虫を食しています。
体に白い線が入るため「スカンクシュリンプ」とも呼ばれており、水族館で飼育されるほか家庭のマリンアクアリウムでも普通に見られるエビで、水槽内でもよく働いてくれます。
同じような習性を持つ生物にホンソメワケベラというベラ科の海水魚がいますが、ホンソメワケベラは残念ながら飼育は簡単といえず、共生関係を水槽内で見てみたい! という方はこのアカシマシラヒゲエビとほかの魚との飼育がおすすめです。
ただし、肉食性の強い魚には食べられてしまうこともあります。
このほかにもほかの魚の体表の寄生虫を食するエビにはシロボシアカモエビやサラサエビの仲間、カクレエビの仲間もいますが、多くが日和見的なクリーナーです。
先述のオトヒメエビもクリーナーではありますが、この種もいつもクリーニングするというわけではなく、底生の動物や小魚などを食べてしまうことがあり注意が必要です。また大型魚との飼育では逆に大型魚に捕食されることもあり、いずれにせよほかの魚との飼育はおすすめできないエビといえそうです。
共生ハゼとテッポウエビの関係
テッポウエビの仲間の中にはハゼと共生するものが知られています。ハゼ科のうち俗に「共生ハゼ」と呼ばれるダテハゼ属、イトヒキハゼ属、ネジリンボウ属などに含まれるハゼと、テッポウエビ科のうちコトブキテッポウエビ、ニシキテッポウエビ、コシジロテッポウエビなどの種のエビとの共生です。
テッポウエビは巣穴を堀り、ハゼにすみかを提供しますが、眼が弱いとされハゼに巣穴の入り口を見張ってもらうのです。
ハゼとテッポウエビを飼育し、共生を観察するのには難しい飼育設備は不要です。海水魚飼育の基本的な知識があれば容易に共生を水槽内で見ることができるでしょう。ただしハゼは水槽から飛び出してしまうこともあるので水槽にフタは必須ですし、テッポウエビはサンゴ水槽ではレイアウトを崩してしまうこともあります。
またハゼとテッポウエビの相性が悪いと共生せず、最悪の場合テッポウエビがハゼに食べられてしまうことがあります。
エビと魚を水槽に入れるということは種類によってはリスクがありますが、魚と共生するものについては水槽内で共生を観察することができるというメリットがあります。一度飼育した生き物を放流することは必ず避け、相性に注意しながらエビと魚の飼育を楽しみましょう。
(サカナトライター:椎名まさと)
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