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サカナなのになぜ登る? そこに岩があるから――<ボウズハゼ>孤高のロッククライマー

パリオリンピックでは日本人選手の活躍もあり、ボルダリングが盛り上がりました。

サカナ界の中にも、生存をかけた岩登りをしている魚がいるのを知っていますか?

試合会場は和歌山県古座川町にある古座川の支流である小川(こがわ)。選手は岩をのぼるサカナ・ボウズハゼです。

ボウズハゼってどんな魚?

(提供:PhotoAC)

ボウズハゼはスズキ目ハゼ科の魚で、ジュズカケハゼの仲間。成魚になると約10センチまで成長します。

体は寸胴で鼻先は丸い円筒形、全体的に粘液質でぬるぬるしています。腹びれの吸盤と下向きの口の吸着力を使って垂直の壁や乾いた岩の上でもどんどん登っていきます。

見た目のかわいらしさとは裏腹にボウズハゼの動きは俊敏。捕まえるのはとても困難な魚です。

縄張りを持つ魚で、ボウズハゼ同士やアユとも縄張り争いをします。アユの友釣りをしていると釣れることもあるとか。

生息適地が減少

ボウズハゼは関東地方以西の太平洋岸に分布。関東方面では相模川、酒匂川、早川で見ることができます。

生息適地の減少によって、国のレッドリストには絶滅危惧II類に指定されている魚です。

ボウズハゼの一生

産卵期は3月から7月。川底の石の下面に産み付けた卵を雄が守ります。

ふ化した仔魚は海まで流れて翌春まで海で育ち、3センチほどに育った稚魚は春先になると海から群れで遡上(そじょう)。その際の稚魚の体はほぼ透明でアユなどのように川の中層を泳ぎながら、上~中流域の底に生息します。

ボウズハゼはなぜ登る?

ボウズハゼは“岩登り”を行います。

ボウズハゼはアユと同じく川底の石についた付着藻類を食べています。岩を登って上流を目指すのは、より競争相手のいない環境で餌を食べて大きくなるための行動だと考えられています。

(提供:PhotoAC)

ボウズハゼは応援したくなる魚!

餌を求めて水中から飛び出し、川の流れに逆らって岩を登る心意気は渓流魚の中でもトップクラスのガッツの持ち主。

オリンピックは4年に一度ですが、ボウズハゼにとっては毎年オリンピックが開催されているようなもの。機会があればぜひ応援に駆けつけてみてください。

(サカナト編集部)

参考文献

和歌山のハゼ、岩登りのシーズン 古座川「清流のクライマー」(共同通信) – Yahoo!ニュース

斉藤憲治(文)内山りゅう(写真)著 「くらべてわかる淡水魚」 株式会社山と渓谷社(2015年)128P

淡水魚類図鑑 ボウズハゼ – 神奈川県ホームページ (pref.kanagawa.jp)

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サカナト編集部

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